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その様子に気付いたのか、倉本は「暇ならちょっと付き合ってよ」と言った。
何もやる事のなかった晶は当然「行く!!」と言って倉本について行った。連れて行かれる先がどんな所かも知らずに………
―――――――――――――
暫く晶に休みを取って貰ったカフェ「APRICOT」は相変わらず空いていた。いつもの客以外は居ないに等しい。
しかし、今日は川端が来ておらず窓側の定位置は寂しげに日を浴びていた。
「今日はあの兄ちゃん来てないの?」
「ええ。気まぐれなんで、来る期間にムラがあるんですよ」
「残念だねぇ。あの顔はいい客引きになるのに」
川端同様、かなり長い期間通っている老人からそう言われた。
確かに見た目は良い。生方と川端が並んでいる姿は目の保養になると言っても良い位だ。
しかし、顔で客引きしても意味がない。生方は自分がブレンドしたコーヒーを気に入ってリピーターになってくれる人が欲しいのだ。
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