第2話:奴、大人のような子ども!?

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 老人はそれだけ言うと「おいくらかね?」と生方に聞いた。 「730円です」 「いつもと同じか。いい加減聞かんでも覚えなきゃいかんな」 「いいんですよ。これも俺の仕事ですから」 「ほっほ。物好きだね」  独特な笑い声を上げると、カウンターにお金を出して「今日も美味かったよ。ご馳走さん」と言って店を出て行った。  生方はその言葉に笑みを浮かべて「ありがとうございました」と言って一礼した。  その言葉があれば客の数なんて関係ない。  生方にとって「美味しかった」は最高の誉め言葉だ。 ―――――――――――――  一方、倉本について行った晶はと言うと…… 「何でここに来てんの!?」 「あ、何かね、爺ちゃんがここのコーヒーめっちゃ美味いって言ってて。 俺1人じゃ来れないから晶となら一緒に来れるかなって思ってさ」  着いた先はカフェ「APRICOT」。バイト先だ。  倉本は、晶がバイトしている事は知っていても、何処でバイトしているかまでは知らなかった。  得意気に教えてくれる倉本に悪いと思いつつも「ここ、バイト先」と言って掴まれていた手を離した。
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