168人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
生方の腕をすり抜けた川端が突然晶の前に手を突き出した。
何か握っているその手を軽く開くと、何か光る物が見えた。
「あの…これ?」
「お土産。綺麗でしょ?だから、しょーちゃんにあげる」
「………え?」
「これあげたくて来たんだし」
突然すぎて何が何だか分からなかった晶は、とりあえず川端が握る何かを受け取った。
手のひらに転がってきたそれは、綺麗に磨かれているメノウの指輪だった。
「………これ、どうしたんですか!?」
「お土産だよ」
「そうじゃなくて……」
「あげたかったから。買っちゃったの。貰って」
「竜史。言葉足りてないぞ。何処に行った土産なんだ」
晶の言いたかった言葉を言ってくれた生方。そう言われてやっと分かったのか「ああ」と言って手を叩いた。
「ドイツ土産だよ」
「「ドイツ!?」」
ほぼ同時に叫んだ晶と倉本。生方は「今度はドイツか」と言って何だか羨ましそうな顔をしていた。
高そうな指輪を握り締めて叫んだ晶は急いで手を開いてそのお土産を川端に返した。
最初のコメントを投稿しよう!