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洗っている皿が半分くらいになった所で、隣にいた杏子が梨子から離れテーブルへ向かっていった。
「それ洗い終わったら休憩入れ」
「へーい」
客が来なくても、埃がかからないようにテーブルをいつも綺麗に拭いている。
そう言う些細な気遣いなんて知られてないのだろう。むしろ、当然と思われているのかもしれない。
しかし、いつも杏子がそうしているのを見ているせいか、梨子が違う店に入った時店員がテーブルを拭いているのを見ると「まだ汚ねぇままじゃん」とついチェックしてしまう。
その都度「やっぱ兄貴はすげぇんだ」って思い直される。
今日もその姿を見る梨子は、すこしニヤケながら残りの皿も綺麗に洗った。
「………よし。兄貴!!洗い終わったぞ」
「ご苦労さん。じゃあ、休憩入っていいぞ」
杏子の言葉を聞いて、エプロンを取りながら「休憩入りまーす」と言った梨子。
しかし、バックヤードへ入ろうとした時、店のドアが開いた。
「いらっしゃいませ」
「いらっしゃいました~!!」
「げっ!! 川端!!」
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