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梨子の反応が面白い川端はクスクス笑いながら杏子の出してくれたコーヒーを飲んだ。
コーヒーを口に含んでいる間は大人しい川端。それを知っている杏子は梨子に「ほら休憩入るんだろ」と優しく言って休憩を促した。
「………おう」
「ええ~?なんだ。ナシコちゃんも居なくなっちゃうの?つまんないの」
「てめぇ……。だからナシコじゃねぇつってんだろ!!」
「リンゴ!!竜史もこれ以上からかうな」
「はぁーい。じゃあね~。ナシコちゃん」
「………っ!!」
落ち着いてたのも最初の一口だけ。コーヒーを飲み込むと、またからかい始めた川端に杏子が注意した。
杏子の言う事には素直に従った川端は、バックヤードへ入ろうとしている梨子に向かって、笑顔で手を振った。
その姿にイラッとしたのだろう。梨子は扉を思いっ切り開けて入り、怒りを込めて閉めた。
ピシャリと言う音の後、静かな音楽が耳に届く程の静寂になった。
普段からこれ位大人しかったらどんなに楽なんだか……。
杏子は溜め息をつきながら「からかい過ぎだ」と川端を注意した。
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