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杏子の注意を受けて笑いながら「悪い悪い」と謝った川端だが、本当に悪いと思っているのか疑問だ。
「だってナシコちゃん、ウブの弟なのに全然似てないんだもん。楽しくてさ~」
「そりゃそうだ。兄弟でも全部がそっくりじゃないさ」
「ウブと違って、ナシコちゃんはすっごい不器用だよね」
「そうだな……。洗濯物すらろくにたためない」
「あはは、重症だ~」
冗談なので笑いながら言っているが、バックヤードに居る梨子に全て聞こえている。
好き勝手言いやがって!!と思いながら、1度は治まった怒りが再燃してきた。
「そーいえば、しょーちゃんは?最近来てないよね?」
「ああ、晶は休みだ。梨子の代わりに入って貰ってたからな。その分を今休んで貰ってる」
「何だ………しょーちゃんに会いたかったのにな~」
「また失神させるつもりか?」
「次は加減しマス。だからしょーちゃん触らせて」
「俺に言うな」
可愛くおねだりするが、使う相手が違う。川端の扱いに慣れている杏子にはこんな仕草も全く通用しなかった。
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