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「あ、コーヒーなくなっちゃった。おかわりーー!!」
「はいはい。アップルパイは?」
「うん!!いる!!」
「ちょっと待ってろ。用意してくる」
「はぁーい」
返事だけは良い。けど、実際分かっているのか不安が残ってしまうのが川端の返事だ。
多少の不安を残しつつ、バックヤードへと道具を取りに入っていった。
「あれ?もう休憩終わり?」
「いや、アップルパイの道具取りに来た。もう少し休んでて平気だぞ」
「んー。兄貴はすげぇな。アイツと一緒に居て何ともねぇんだろ?」
「友達だからな。お互い分かり合ってるつもりだ」
「俺は一生分かんないかも」
「それもまた然りだ。来た客全てが自分と合うわけじゃない。だから苦手もあって良いんだよ」
「態度に出さなきゃ?」
「……そうだな」
軽く笑いながら言った梨子に、優しく笑い返すと手早く用意してまた店へと戻って行った。
杏子が出て行った後、やっぱ兄貴はすげぇ。と思いながら手にしていたケータイ電話を開きメールの続きを打った。
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