第3話:奴の意外な一面!?

13/16

168人が本棚に入れています
本棚に追加
/134ページ
 いつもと違う雰囲気の川端に怯み、苛立っていた事も忘れた梨子はバツが悪そうにして俯いた。 「ナシコちゃんも経営側なら分かるでしょ?今、彼女らを罵倒すると不利になるんだよ」 「それに、お前の友達なんだろ?来てくれただけ感謝してる」 「ウブ、それは言い過ぎ。 来て何も頼まないのは客じゃないよ~」 「俺は梨子に感謝してるんだよ。だって、そこまで怒るのはこの店が好きだからだろ……?」  杏子が笑いかけると、梨子は図星を突かれたようで少し顔を赤くして俯いた。  この店と兄貴を大切にしてると川端にバレたら、またからかわれると言う思いもあり、杏子の問い掛けに答える事は出来なかった。  すると、川端が溜め息をつきながら笑って 「そりゃ、この店嫌う人間は居ないでしょ。少なくとも、常連客は好きだから来てるわけだし。 彼女らも嫌いで言ってるわけじゃないだろうし。 だから騒ぎ立てる意味なんてないんだよ」  と梨子の方を見て言った。  コイツ、何も考えないで兄貴のコーヒー飲んでるのかと思ったら……案外店の事分かってたんだな……。  川端の意外な一言で梨子は呆気に取られた。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

168人が本棚に入れています
本棚に追加