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その反面、自分が先程川端に言った暴言を撤回したかった。
それに気付いてなのか、杏子が
「竜史の言う通りだよ。今彼女らを責めても仕方ない。
こう言っては語弊があるかもしれないけど、俺はこの店丸ごと好きになってくれる客が欲しいんだ。だから、1つでも気に入らない所があるんだったら来なくていい。
………って言える位客入ってないし、金銭的にカツカツだけどな」
と杏子が笑いながら言った。すると、梨子は杏子の顔を見て「俺だってそうだよ」と照れながら返した。
お互い、この店が大切だからこの様な事が起きる。そして、どれだけ大切に思っているのか確認出来る。
2人にとってこのやり取りはそういった意味も持ち合わせていた。
「さて、気を取り直して……アップルパイ、焼いてくるよ」
「おお!!やったあー!!このアップルパイは1日1回は食べたいよね」
「言い過ぎだぞ。梨子、ほら準備手伝ってくれ」
「そーだよ。ナシコちゃんが手伝ってくれたら早く食べれるんだから~」
笑いながら言う大人2人に梨子は少し綻ぶ顔を俯き隠しながら「分かったよ!!」と言って杏子の後に続いて行った。
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