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梨子から渡されたボールを見ると、確かに汚れが残っていた。
「洗剤、新しいの使ったのか?」
「いや、出てるやつ使った」
「だからだ。あれは除菌用だって言っただろ。新しいのが汚れ落とすやつなんだよ」
「もう!!わかんねぇ!!から兄貴がやって!!」
ふてくされた梨子が全てを投げ出すと、杏子は溜め息を吐き「分かった」と言って調理場へと入って行った。
すると、梨子はすぐに晶の横に座り「ちょっと耳貸せ!!」と言って晶の肩を抱き寄せた。
「ん?何かあったの?」
「お前に頼みたい事あんだけど、いい?」
「内容によるかな…」
「悪くないぜ?」
得意気に言う梨子。さっきのやり取りはどうやら芝居だったらしい。
杏子に全て任せて相談しに来たのはどうかと思ったが、とりあえず梨子の相談に耳を傾けてみた。
「メール送った通りなんだけどさ…」
「川端さんの事?」
「そう!!アイツわけ分かんねえから調べてみようぜ!!」
「は?」
何故か薄笑いの梨子に驚く晶は、素っ頓狂な声を上げてしまった。
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