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それに気付いたのか、杏子は「怒らないよ?」と優しい笑顔で言って晶の言葉を待った。
しかし、今の言葉は逆に怖い。元が怖い顔で、清々しい笑みを浮かべられると「言わないと怒るよ?」の脅しに聞こえてしまう。
晶はヘビに睨まれたカエルのように怯えながら「いや…あの」と、もごもご話した。
すると、その声を拾おうとして近付いてくる杏子。はっきり言ってピンチな気がした晶は、心拍数バクバクのド緊張だった。
「どうした?」
「あ、いや…あの…」
「ああもう!!兄貴の顔が怖いからはっきり言えないんだよ!!今の自分の笑顔見てみろ!!」
たまらず声を上げた梨子だったが、あまりに失礼だったため杏子に睨まれた。
申し訳ないが、矛先が変わった分、少し楽になった晶は少し息を吐いて心拍数を抑えてから「聞きたい事があるんです」と杏子に問い掛けられた。
何だか怯えている晶の質問に対して、杏子は「いいぞ?」と返し、捕まえていた梨子の腕を離した。
「何でも、答えられる範囲ならいいぞ」
「あの……」
「うん?」
なかなか言えない晶に、待つ体勢の杏子。
何か遠慮しているのがすぐに分かるので、質問を急いだりしなかった。
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