168人が本棚に入れています
本棚に追加
「……そんなに笑う事ですか?」
「うん。ああ…久しぶりだよ。こんなに笑ったのは」
目尻に溜まった涙を拭いながら言うルワギさん。
面白くしようと思ったワケじゃなかったんだけど……
「楽しいなら、それでいいや」
「………笑った?」
やんわり笑ったあたしに、驚いた表情のルワギさんが尋ねた。
あたしだって笑いますよ?
珍しいものでも見るような視線に照れながら、とりあえず日焼け止めから話題を反らした。
「日本の夏は暑いですか?」
「……ああ。俺の地元は雪原でね、最初は日本の気候に合わなかった」
「雪原?」
「そ。一面真っ白で…夜の静寂は恐怖を覚える程だ」
「……そんなに静かなんだ」
「田舎だったから。こんなに輝いた街灯なんてなかったし…」
ルワギさんの地元が何処なのか…地理が苦手なあたしは聞いても分からないけど
教科書なんかで読むよりも、ずっとリアルに情景を思い浮かべられた。
川端さんが戻るまでの約20分間。ずっとルワギさんの地元の話しを聞いていた。
知らない所の話が退屈でなかったのは、きっとルワギさんの話しが面白かったからなんだろうな。
最初のコメントを投稿しよう!