第五章

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俺はその様子を見て、一息入れるように店に置いてあるベンチに腰を下ろした。 「今日のさなえちゃん、楽しそう♪」 そうベルが言いながら、俺の隣に座る。「いつもは…楽しそうじゃないんですか?」 そうベルを見ながら言った。 「ん~、いつも楽しそうだけど、今日はよりいっそう楽しそうって言った方が良いのかな?シノさんと一緒だから?」 そんな冗談を織り交ぜながらベルは笑いながら言った。 俺は苦笑いをして、ベルの話を聞いていると…さなえがこっちに向かって歩いてきた。 「ねぇねぇシノさん、こっちの服とこっち服、どっちが似合うかなぁ?」 そう言ってさなえは両手に持っている服を俺に見せた。 右手には青いワンピース。スカートの部分にシマシマの模様がついている。 左手には、茶色のワンピース。デザインは同じだが、方の部分が盛り上がっているのと、シマシマの部分が音符の模様になっている。 俺は少し悩んで 「青いワンピースの方が俺的には良いかな?」 そうさなえに言ってみると、さなえはニッコリ笑って 「シノさんならそう言ってくれると思ってました♪それじゃぁ試着してきますね」 そうさなえは言って試着室に向かった。 ベルは俺の隣で二人の会話を聞きながら、ニッコリしていた。 さなえが試着室に入り、カーテンを閉めて着替え始めた時だった。 「………っ!?」 急に頭が痛くなった。 たまらず頭を抱える。 その光景を見たベルは 「シノさん!?大丈夫ですか!?」 心配に俺に話しかける。 しかし、俺はベルの言葉に返事を返す余裕が無いくらい頭が痛かった。 頭が割れる。 そう思った時、誰かの声が聞こえた。 「シ……ノ………。」 さなえさん?違う。 じゃぁベルさんか? しかし、どれとも合わなかった。 どこか懐かしい声だった。 そう思った時…そのまま俺は気を失った。
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