第六章

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「それじゃ、私はそろそろ家に帰るね」 そう言って、ベルは手を振りながら玄関へと向かった。 さなえはベルを見送りにいった。 俺はベッドの上からベルを見送った。 少しして、さなえが戻ってきて、ベッドに寄りかかるように座った。 「シノさん具合は大丈夫ですか?」 「うん…頭も痛くないし…大丈夫だと思う」 そう俺が言うと 「でも、本当にビックリしましたよぉ…シノさんいきなり倒れちゃうんですもん」 そうさなえが苦笑いをしながら言った。 「俺もあれにはビックリしたなぁ…急に頭が割れそうなくらい痛くなっ…」 俺は途中で話を止めた。 さなえはどうしたの?と言いたそうな顔でこっちを見ている。 「そいえば…さなえさん、俺の事病院に連れていきました?」 さなえに訪ねてみた。 俺が気を失ってしまった時に、一度だけ目を覚ました部屋。 多分あれは病院だったのかな…と思い、さなえに聞いてみる事にした。 「いぇ…お医者さんには来てもらいましたけど、病院には行ってませんよ?」 そうさなえは答えた。 やっぱりあれは夢だったのか…。 そういえば…服屋で頭が痛くなった時…誰かの声聞こえたよな。 「シノさん?大丈夫ですか?」 さなえが心配そうにこっちを見ていた。 俺は難しい顔をしていたのに気づき 「ぁ…大丈夫です」 そう言っておきながら、俺はまた難しい顔をしてしまっている。 それを見たさなえが 「今日はもう遅いから…寝ましょうか」 そう言った。 俺はふと時計を見てみると、もう夜の11時を回っていた。 「ぁ…じゃぁどきますよ」 そう俺が言ってベッドから起き上がろうとすると 「私は大丈夫だから、シノさんベッド使って下さい」 そうさなえが言って、ベッドから起き上がろうとする俺を押し倒すように寝かせた。 「ごめんね…」 そう俺が言うとさなえはニッコリ笑った。 そして部屋の電気が消えた。
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