第六章

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電気を消しても、頭は考え事でいっぱいだった。 あれは本当に夢…だったのかな…。 いつもの俺ならこんな事は考えもしないで、速攻寝るだろう。 だけど、この街に来てから胸騒ぎが治まらない。 不安…なのだろうか? 16年間生きてきた中で、こんなにも不安になった事は一度もなかっただろう。 かぁさん…。 ふとかぁさんの顔が浮かんだ。 心配してるかな? そんな事を考えていると、時間はすでに夜中の2時を回っていた。 さすがに寝るか。 そう思って、壁に向かって寝返りをした時だった。 (ゴソゴソ…) 「!?」 何事かと思い振り返ってみると、さなえがベッドに上がり込んできていた。 しかも丁度壁側に体が行っていたので、身動きが取れない状態になっていた。 (ちょ…さなえさん!?) 小声でさなえの名前を呼んでみるが、さなえは爆睡したままだった。 多分あれだろう。 いつもと寝ている場所が違うので、体が勝手にいつも寝ている場所に戻ろうとしたのだろう。 もちろん本人に自覚は無い…。 ちょっとラッキー!とか思ってさなえの方に顔を向けてみる。 さなえとの距離…約30cm ハッキリ言って、女子に免疫の無い俺がこんな状態に耐えられる訳もなく、すぐに壁の方を向いてしまった。 心臓はバックバクだった。
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