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こんな時…度胸のある男だったら…。
などと壁にブツブツ呟いていた時だった。
「…シノ……さん」
俺はドキッとして、そのまま寝たフリをしようと目を瞑った。
俺ってどけまでもチキンだなぁ。
自分に呆れていた。「シノ…さん……どこにも…行かないで…」
俺はそれを聞いて思わずさなえの方を向いた。
さなえは泣いていた…。
「…」
言葉が出なかった。
「ずっと…ずっと一緒に…」
俺はどうしたらいいのか分からなかった。
女子に免疫があるとかそういう問題では無かった。
本当なら
「大丈夫!どこにも行かないさ!」
そんな格好いいセリフを言ってあげたい。
言ってあげたい気持ちは溢れるほどにある。
だけど…。
いつ帰れるかなんて分からない。
ましてやココは俺の知らない街で…いつまでもココにいる訳にもいかない。
いつまでも一緒にいられる保証なんてどこにもないのだ。
そう思ったとき、急に悲しくなってしまった。
そしてまた壁の方に寝返りをし、目を瞑った。
はやく朝になってくれ。
そんな事を思いながら夜はふけていった。
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