第五章

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第五章

「シノさーん、出れましたー?」 さなえが叫ぶ。 俺は一度さなえの所に戻った。 「やっぱり出れないな…」 さなえは黙ってこっちを見ていた。 一息ついて 「…よし!もう一度!」 そして俺は街の外に走り始めた。 今俺たちがいるのは街から少し離れた所にある橋の上だ。 そしてココで街から出れるか実験中だった。 もうかれこれ3時間以上こんな事をやっている。 しかし、ある一定の場所まで行くと、いつの間にか逆走している。 もちろん他の場所でも試してみた。 でも、結果はどこも同じだった。 「もぅ無理…限界」 走り疲れた俺はその場で仰向けに倒れた。 さなえが心配そうにこっちに歩いてきた。 「シノさん…大丈夫ですか?」 「うん、平気」 俺はそう言って立ち上がった。 ふぅっと一息ついて、手を腰に当てた。 「なんで…出れないんだろうね?」 俺がさなえに言ってみる。 「なんででしょうね…」 さなえは少し下を見て言った。 「これからどうしましょうか?」 さなえが俺を見ながら言った。 「どうしようか?」 実際俺は今日これをやること以外考えていなかった。 「じゃぁ…少しこの街紹介しましょうか?」 「ん~、じゃぁお願いしようかな」 俺が笑顔で言うと、さなえがうれしそうに 「はい♪じゃぁ行きましょう♪」 と言って、俺の手を引っ張った。
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