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第二章
「ここが私の住んでる家です」
町の大道りから少し小道に入ったところに彼女の暮らすマンションがあった。
5階建ての小さなマンションだったが、どことなく暖かさを感じるマンションだった。
「今から案内しますね」
そう言うとさなえは鍵でマンションの扉を開け、俺をエエレベーターへと手招きした。
どうやら彼女の家の階は三階らしい。
エレベーターを降りたあとさなえが歩きだしたので、俺も後に続いた。
そして、さなえはある場所で立ち止まった。
「はい!ここが私のお家です」
さなえは笑いながらそう言った。
俺はおもむろに部屋の番号を確認した。「307号室ですか」
俺は笑みを浮かべた。
「ぁ、気づきました?ここの0を取ると、(さな)になるんです。素敵でしょ?」
さなえは嬉しそうに言ったので、俺は微笑んで
「そうだね。」
と答えた。
すると、後ろから誰かが歩いてきた
「さなえちゃん」
ふと振り返ると、さなえちゃんにそっくりな子が立っていた
「あ、リエちゃん」さなえちゃんがそう言うと、二人は嬉しそうな顔をしながら笑った。
俺は少し間をあけてから、さなえに「お友達?」っと訪ねてみた。
するとさなえはこちらに振り向いて、嬉しそうに答えた。
「はい、私の親友のリエちゃんです♪で、こっちがシノさん♪」
そうさなえが二人の紹介をすると、リエが「どうも~」っと言ってきたので、俺は軽くお辞儀をした。
さなえが紹介したその子は、さなえにうり二つと言っても過言では無いくらい似ていた。唯一違うと言ったら、髪の毛の色くらいだろうか。さなえが黒髪に対し、リエは赤茶…っと言うよりもオレンジに近い感じだった。
俺がそんな事を考えてると、リエがさなえに耳打ちをし始めた。
(ねぇねぇさなえちゃん、もしかしてシノさんって…さなえちゃんの彼氏?)
それを聞いたさなえは顔を真っ赤に染め、手を顔の前に出して、思いっきり左右に振った。
「ち…違うよぉ!シノさんとはそんなんじゃ…」
「またまた~」
っとさなえが否定しようとしている所にリエは容赦なく食らいついてきた。
暫くリエの攻撃に応戦していたさなえだが、リエの攻撃にとうとう耐えきれなくなったのか、後ろを振り返り、とばっちりを受けないようにしている俺に、目線で助けを求めだした。俺は苦笑いをしながらリエに近づいた。
「ぇ~っと、リエさん?」
「な~に、彼氏さん?」
っとリエは笑いながら言った。
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