†死闘の末†

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 ある日の夜。  冷たい大雨の中、一本の街灯が路地を淋しく照らしていた。そこには人はおろか犬や猫、虫の気配さえなかった。  突如、雨が地を打つ音を切り裂いて、闇夜に銃声が響いた。  闇に火花が数回散り、それに合わせて鉄と鉄がぶつかり合う金属音が小刻みに奏でていた、走っているであろう人の水をはじく足音が、雨音の満ちる夜を更に慌ただしいものとする。  その音はしだいに大きなものとなり、やがて街灯の光のもと、二人の人間が走り抜けた。  最初に照らし出されたのは、赤いコートを身にまとい、顔をそれに付いているフードですっぽり隠した人間。背格好から見て、少年であろう。しかし両手にはそれぞれ奇抜な形をした少年の体格に不釣り合いなくらい長い剣をにぎりしめている。  少年が走り去った後、一拍置いてすぐさまもう一人が少年を追うようにして灯光の下にさらされた。そいつはどうやら青年で少年とは対象的な白いコートを纏い、フードは被っていないものの代わりに紫色のカウボーイハットを深く被っている。手には粗末な忍者刀と白銀に煌めくリボルバー式マグナムを握っていた。
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