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人間でいう、5歳ほどの年齢になるのに1年とかからなかった。
その頃には、チヨの姿もずいぶんと変化していた。
恐らく、魔力のせい。
赤毛だった髪の毛は金に近い輝きをもち、
青色の瞳は今や澄んだ緑色になっている。
いつかチヨを人間の村に返すつもりだった私は、この変化にひどく動揺した。
金に緑。この辺りでは見ない色だ。
人間という者は、異質なモノを排除しようとする生き物。
もう少しだけ、大きくなってからにしよう。
チヨが一人でも生きていけるまで。
もう少しだけ、もう少しだけ……
私は独りの辛さを、すっかりと忘れていた。
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