不幸の始まり

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あれ? 私泣いてる? さっきまではずっと、 夢だと思ってた。 さっき言われていた言葉は、私に投げ掛けられた 言葉だったんだ…… 「冷たい子供」 「子供のくせに涙ひとつ見せないなんて」 そっか…… 夢じゃなかったんだ。 だって…… だって……… 今、私が必死に抱えている白い箱は…… パパとママなんだから。 呆然としたまま、外に出た時、顔に雨の雫があたった。 雨の中、私は二つの白い箱を抱えて今日初めて 空を見上げた。 顔にあたる冷たい雨は 本物で、カラカラっと 乾いた音も本物。 「何してるの!濡れちゃうでしょ!」 そうだね…… さっきは熱くて 今度は冷たい思いをさせて、ごめんね…… だけどっ 「うわぁーーー!!」 漸く夢から覚めたみたい。 私は、濡れた地面に座り込んで泣いた。 「パパ……ママ…」 だけど、返事ではなく 聞こえて来るのは、 カラカラと言う乾いた音だけだった。 私が小学4年生の 出来事…… 事故で、突然両親を亡くした。
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