君の欲しいものは何ですか?

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「…ふぉーめぇしょん…ぜっと…」 前に使った遠山のリーゼントを投げつける来栖。地面に当たった瞬間煙をあげた。 来栖の一言で俺達は、散会する。逃げ足だけは早い遠山が真っ先に逃げる。 「…あんまり早く走ると…その短いスカートが翻って見える」 捨て台詞を残して来栖もトコトコと逃げ出した。その途中、用意していたどっかの少年名探偵ばりのスピードが出る、電動式キックボードで逃げる。運動神経皆無の来栖用に幅広く、四輪の安全設計だから大丈夫だろう。 「くっ!黒鬼とっとと追いかけ……ひぃ!?」 寺本の頭の横を俺が放った矢が通り過ぎて地面に刺さった。当たればただじゃあすまない。百発百中の今の俺だから出来る脅しの技。 これで黒鬼は寺本を守りながら戦うことを意識しなければならない。一人にはできないわけだ。 おっと! 迫り来る黒鬼の横凪ぎの一撃をベルちゃんと一緒にしゃがんでかわす。ベルちゃんレベルの味方がいれば意識が散漫になり読みやすくなる。 斬! まともに入った俺の下からの一撃、今の筋力だからこそ出来る速度の技。妖刀とまで言われたらしい、稀代の名匠が作り出した赤炎鬼。確かな技術で当てれば斬ないわけがない。 その腹から左肩にかけて、どす黒い何かが煙のように漏れだしていく。
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