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『未知さんやっぱり奢らせて下さい!』
未知を見ていると、自分が物凄い小さい男に思えてきた。小遣いなんて確か俺とそう変わらないはずだし。
未知は男に奢らせるのはありだとは、微塵も思わない奴だからなぁ。未知は見た目可愛いんだから、上手くやれば喜んで奢ってくれる馬鹿な男はたくさんいるだろうに。
『んー、だって誠今月もうピンチなんでしょ?この僕に頼るといいよ!』
惚れてしまいそうだ。ああ、なんて甲斐性のない自分。
『いや、気持ちだけで大丈夫だからさ。俺からの御礼という感じでお願いしたい』
急いで打っているので、お互い絵文字は使わなくなる。
『だが断る!』
『何故!?せめて自腹でなんとか!』
『仕方ないなぁ。誠がそこまで言うなら。あ、ちなみに委員長の名前は鈴木照子(すずき てるこ)ちゃんだよん(^ε-)☆』
携帯を閉じて委員長に向き直る。律義に黙って待っていてくれた彼女に感謝。
「待たせてごめん……テルぴょん」
殴られた。
何故か遠山が。
わざとなのか何なのか、前の席の遠山に向けて綺麗な裏拳が炸裂した。委員長……相変わらず見事な技だ。
テルぴょんはまずかったのか?顔を真っ赤にして肩を震わせている。一か八か機嫌を治す為に、寿司Tのナナちゃんが感涙すると言っていた呼び方をしてみたんだが。
いや、待てよ。後ろにハートが足りなかった……って違うか。
「雪鬼君……もう一度言ってみなさい」
あまりの眼力に背筋が凍る。目力ある女性は魅力的だと聞くが、ありすぎもどうだろうと思った。
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