引かれ合う因縁

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「鈴木照子さん」 「違うわ……さっき何て私を呼んだのかしら?」 「…………」 追い詰められた。言わせてからヤルつもりなのか。こうなったら覚悟を決めて一球入魂。 「テルぴょん(ハート)」 「せっ、雪鬼君がそう呼びたいなら、そう呼んでもいいけどね……私は本当は嫌なんだけど……その……仕方ないわね。うん」 ツンデレ―― それは劇薬。用法用量を守らねば、逆効果になりえる諸刃の剣。だが、使い方さえ誤らなければギャップという名の相乗効果により、全ての闇を切り裂くエク●カリバーの一撃に匹敵する。リスクを負う事を覚悟すれば、圧倒的な破壊力を誇る最強のメイド属性であるあの彼女にさえ一矢報いる事が可能だろう。さあ、その自らの内に秘めたる力(ツンデレ)を解放して、もっとこの俺を楽しませてくれテルにゃん(ラブリーー」 「死になさい!」 「げほぉぉああ!!」 いつの間にか俺の後ろでナレーション風に意味不明な解説をしていた遠山が、回り込んできた委員長の飛び膝蹴りを顔にくらい吹き飛んだ。 流石は委員長……アクティブ過ぎる。遠山は何故か満足そうな顔で大往生だ。 「ハァ……まあ……いいわ。それよりも用事があるのよ」 乱れた髪をかきあげて、手櫛で直しながらこちらに向き直る委員長。
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