引かれ合う因縁

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「合い鍵だぁぁ!!来栖ちゃんの家のな!いつでも来て、私を食べてねみたいなラブアピールだ!誠、生かしておけねぇ!!」 一体どんな妄想ですか…… 「待て遠山。俺来栖の家知らないし」 迫り来る遠山パンチを軽く受け止めて普通に答える。 何と言うか一人で勝手に盛り上がるの止めて欲しい。 「はん!そんな言い訳に俺様の目はごまかされねぇ!さあ、集え!来栖ファンクラブ会員の諸君!」 その合図と共に、ドアと窓が一斉に開いた。ハイエナのような瞳の男子生徒が集まり俺をガン見している。その数、約ニ十人……見える範囲だけでだ。 何このマンガみたいな展開……阿呆過ぎる。 しかし遠山……いつ結託したんだよ。有り得ない。 じりじりと囲まれ出した。出入口は確実に無理。窓から飛び降り……ダメだ下にもワラワラと人がいる。しかも陸上部の連中だ、逃げ切れない。 いつからここはこんな危険地帯に…… 「タイム!!」 「ふん、ニ分だけだ。神に祈れ」 あれ?苦し紛れに言っただけなのに聞いてくれるとは……ってめちゃめちゃニヤニヤしているし。さあ、抵抗してみろよ的な見下し具合。 遠山……必ず必ず必ず後悔させた後、静香姉にチクってやる。 遠山の言葉に皆さんが制止する。皆さん、従う相手間違ってますよ確実に。 急いで携帯を開きメール作成して未知に送信。理解した表情の未知が、なるべく不自然でないように俺の背後を通り過ぎてから大回りしてまた自分の席に戻った。
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