引かれ合う因縁

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「お前達、遠山に騙されるな」 教室の皆に聞こえるように声を張り上げる。 遠山はそんな俺に対して前回の二の舞にならないぜと口を閉ざす。甘いな遠山、すでに仕込みは万全だ。 「そこの男前のお兄さん」 そう言うと全員こっちを向いてそれぞれ返事をしてきた。 ダメだ……なんて自意識過剰なんだ。明らかなお世辞をまともに取り過ぎだ。俺なら自分カッコイイみたいに返事する勇気はないぞ。 「ええと……そこの大柄な短髪のお兄さん」 今度は通じたようで、相撲でもやってそうな体型の男子生徒が前に出てきた。 「質問なんだが、遠山は眠り姫ファンクラブに入会したのか?」 勘――なんとなくこいつはファンクラブの中の地位が高いと思った。色々な修羅場を体験したからこそ見える感覚。まあ、間違ったら他聞けばいいし。 「ああ、我らが同志よ!」 豪快に笑う。うん、とりあえず必要な事は知ってそうだ。 「それっていつの話なんだ?」 「確か一週間前か」 貰った。 「眠り姫条約第二条。女神は二人はいらない……だったっけ?来栖以外の者にうつつをぬかしてはいけないだったな」 遠山を見ながらそう言ってみると、視線を逸らしダラダラと汗を流し始めた。
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