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「何をしている貴様達!」
そう宣いながら現れたのは別の女性。背丈からして少女だろうか。黒のスーツを身に纏い、闇夜を照らすように眩しく輝く金色の髪に青瞳。こんな状況でなければ、その輝きの美しさに見とれ、心奪われてしまうだろう。
その者は黒き者に指を突き付け、険しい顔をしている。
「黒い……炎……?……一体何なのよ……」
初めて明らかな動揺を見せる女。表情が崩れて汗が額に浮かぶ。
「成る程。その取り乱しようは、まだ経験がないようだな」
『まあ、否定はしないが。そいつはこの女だけさ。俺は経験豊富だぜぇ……お仲間に会うのも、殺し合うのも』
影が女を庇うように前に出た。すでに炎が消え、平然としている。
襲われた男は気絶して地面に伏している。もはや誰も眼中に入ってはいない。今は異質過ぎる存在感を放ち出した、二つのそれが場を支配している故。
「貴様は鬼……なのか?」
『黒鬼と呼んでくれ。お仲間さん』
「一緒にされると不快だ」
その言葉を皮切りに二つの異質はぶつかり合った。静か過ぎる空間の元、誰にも知られずにただひっそりと。
本人達には予定外の衝突により、綺麗に組み立てていたはずの物語の道筋が粉々に砕け散る事となる。
それは彼女が仕組み、彼に与えた試練の舞台――
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