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「いつも一緒に登校している幼なじみがいるんですが、どうも私をからかってばかりなんです。その、嫌ではないし、私をかまってくれてちょっと嬉しかったりもするんですが……けど、もっと大人な扱いをして欲しいなぁと……だから身長を伸ばしたいんです!きっともっと大人っぽくなればいいかなと。後胸ももっともっとーー」
「ふにゃーーーーー!!」
琴葉さんがキレた。
「どうした琴葉!一体何が?俺が話した鈴木さんへの投稿相談の一部の紹介に何か心当たりが!?」
「ふわーん!目が笑ってるよぉ!絶対絶対わざと言っているよぉ!!どうして一文字一句正確に覚えてるのぉ!?」
顔を真っ赤にして、ポカポカと威力皆無なパンチを繰り出してくる。
「というか言わなきゃ誰か分からなぁ痛っ!?」
突如背中に強烈な痛みを感じた。これは噂に聞くなんとか拳法奥義……拳に篭めた気を放ち、無防備な後方にダメージを与えるという透しの技。恐るべし、神龍寺琴葉……って前回もこれと似たのやらなかったか?
振り返るとなぜか涙目なシルバーブロンドと無口さがチャームポイントの眠り姫さんが、スカートのお尻に付いた砂を手で払いながら摩っていた。
「来栖、まさかドロップキックして着地失敗して尻餅着いて痛い感じか?」
「…違う…華麗に着地した…」
ドロップキックは否定しないんだ。というか痛そうだし、なんか照れてるし。
「来栖ちゃん、私来栖ちゃんに聞きたい事が!」
よく分からないが興奮した様子の琴葉が来栖に迫る。
「…誠…おは…」
来栖無視。
「あれれぇ……!?」
「……えーと、おはよう来栖」
琴葉……未知と来栖じゃあ難易度が天と地程違うから気を落とすな。しょげ返る琴葉に心の中でエールを送ってみた。
例えば未知がハエも止まるようなパンチしか放てない軟弱勇者に、わざわざ憎い演出を用いながら付き合いで戦ってくれる魔王だとしよう。
それならば来栖は勇者のパンチを平気で無視しながら、優雅にビーチで日光浴しちゃう魔王だ。幸せそうにうたた寝している魔王に、ダメージを全く与えられない勇者はべそをかきながら、力尽きるまで攻撃する事になるだろう。
うん、我ながら意味が分からない説明になってしまった気がするけどな。
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