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「朋っ!朝っぱらから何してんだ?」
教室に入ると、教室内は、既に賑やかワイワイいつも通りの騒がしさだった。
そんな中、教室の隅で必死そうに机とにらめっこしている奴がいた。
そう、今朝の俺と未來との登校をボイコットした男子生徒、紅 朋(クレナイ トモ)。
「見てわかんないのか?
今日の数学の宿題だよ。」
家では宿題をやらないが、授業の直前となると一生懸命にやりだす。
高校生ならよくある光景だ。
「中村なんて流しときゃ良いんだよ。宿題なんてやったって意味ないさ!」
俺はどこか彼に悟りを開かせる感じの口調で彼を説得にかかる。
「そもそも、宿題なんて教師達の自己満だろ?それに、やらなくたってテストが良ければ進級できんだ!やることないって」
朋は手を動かしながら、俺の話を聞いていた。そして、俺が少し間を開けるとペンを走らせるのを止め、若干疎ましげに言った。
「まあ、やっとくに越したことはない。
だから向こう行け!」
(なんて冷たい奴なのか…その内、こいつとは縁を切ってやる!)
などと、 何度思った事だろうそんな事を考えながら、俺は朋の真後ろである自分の席に座り、一息ついた。
しかし、一息つく間もなくそこそこ大きな声が、俺の耳に入ってきた。
「だから、言ってるだろ?バレー部には入らないって!!」
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