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そこは、青色だった。
新谷ほなみは青色の世界の中、ただ一人ぼんやりと浮かぶボートの上で佇んでいた。右を見れば広大な海、左もまた、後を振り向いたとして同じだ。上を見上げればどこまでも透き通るような蒼穹。
まるで世界が全てなくなってしまったような、海と空だけが何もかも支配するような空間。ほなみはその中で、全力で叫ぶ。
「ここ、どこーーーーー!?」
もはや泣き叫ぶ、と言っても過言ではないほど切実な叫びが、空に溶けていく。ほなみの叫びに反応するものはなく、ただほなみの徒労にしかならなかった。
――それも、そうよね。
髪をさらさらと撫でていく風を感じ、ほなみは髪を押さえる。幸いにも持ってきた荷物は無事で、身を整えるものは持っている。それでも、外部と連絡するものは一切なかった。携帯電話はすでにバッテリーを切らし、ただのボタンが押せる機械でしかない。
ほなみはそれでも何度もボタンを押すことを繰り返し、電池パックを擦るなどして電源を復活させようと試みたものの無駄だった。
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