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どうしてかは分からないけど。
一目見て、『彼しかいない!!』
…そう思った。
「すいません。今、お時間ありますか?」
「え?はい?俺?」
逃がさないように足早に歩みより、声をかける。
花壇の縁に腰をかけたその少年は、後ろの花が霞んで見えるくらいの美貌だった。
高校生だろうか。
少し下がった目尻が、まだ残っているあどけなさと絶妙なバランスで。
「私、こう言う者ですが…」
見上げてきた顔を見返し、思わず怯んだが、バレないように名刺を渡す。
「みち?」
新島道…
名刺に書かれた私の名前を、彼の形のいい唇が音にする。
「とおると読みます、おかしいですよね」
彼は納得したように頷くと、再び視線が絡んだ。
「で?…秋永社の方が俺に何か?」
「実は…読者モデルを探してまして」
長ったらしい話は苦手だから、単刀直入に伝える。
「良いっすよ?」
「え?」
あまりにもあっさりな答えに、驚いて彼を見つめた。
「だから、良いっすよ?」
笑いかけるその綺麗な顔に、胸のどこかが音を立てた。
こうして私の宝物を見つけた。
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