他人の手

8/28
前へ
/71ページ
次へ
仲間ニ手ヲ出サレテイライラスルダロ? 周リナンテ気ニスルナ。思ウヨウニ叩キ潰シニ行コウジャナイカ。 ああ、頭がクラクラする。 人ヲ殴ッテ、血マミレニナロウ。ワタシタチニハ、血ガオ似合イダ。 そう。殴って殴って、血まみれになったら、私は、私は──。 「──い……ゆ─…い! 由衣!」 「ぇうあいっ!?」 萪霧依が私の肩を掴んでゆする。驚いて、私は奇妙な声を出した。えーと、私何してたんだっけ? 全然思い出せねーや。ま、気にすることじゃねえか。 「ったく。急に黙り込むからビビったぜ。呼んでも返事しねーしよ」 「あー、まぁ、悪かったな」 聖に抱きつきながら萪霧依に謝る。 もーっ、聖抱き心地良すぎ。ちっちゃいからか? あ、でも言ったら怒られそ。黙っとこ。 「……はぁ。で、雅んトコの幹部なんだけど」 「ん。最近頭変わったとこだよなあ……絞めてやろうじゃねーの。新しい頭、ぜってー舐めてんぜ、私たちのこと」 ぺろりと自分の唇を舐める。さァ、新しい頭が、どんな風になるか楽しみだ。 背中にぞくぞくと何かが這い上がる感覚。私はこの感覚が好きだ。楽しめる余興だからだろうか。 「んふふ……」 笑って、周りを見渡せば、皆強ばった表情をしていた。 「おい、テメーら」 私はここの頭として、命令を下す。 「ミヤビ。ヤりに行くぞ」 その声に、誰かがごくりと固唾を飲む音が聞こえた。  
/71ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加