13人が本棚に入れています
本棚に追加
繁華街の入り組んだ裏路地を迷わず進んで行く。正直、自分が今どの位置に居るのか判らなくなりそうだ。それくらい、似たような道が続いている。
現在仲間を仕切っているのは梼貴だ。この辺の地理にめちゃくちゃ詳しい。だから、ミヤビの場所だって、他のチームの場所だって知ってる。実質人間カーナビだ。
「うわっ!?」
「え、何聖。どうしたのさ」
「す、滑りそうになったんだぁよ……」
聖の足元を見るとバナナの皮があった。良く滑るもんなあ、バナナって。にしても、
「滑って転べば面白かったのに……」
「ゆ、由衣!? 酷ぇこと言うなぁよ!」
あ、思ったことが口に出てたみたい。あー、聖が涙目! かぁわいい。とりあえず、機嫌損ねないよう謝っとこう。
「ごめんごめん。痛がってる聖可愛いだろうなーって思ってついな」
「……こんのドSが」
「いーのかなァ? そんなこと言っちゃって~」
聖の肩に手を伸ばし、引き寄せる。至近距離になった聖の耳に、私はふぅっと息を吹き掛けた。
「──ッ!」
意味不明な言葉を発した聖は、私の腕から力ずくで離れた。私が息を吹き掛けた方の耳を両手で押さえ、顔を真っ赤にして口を金魚みたいにパクパクさせている。
この反応の良さが堪んねえっ! もーちょいやろうかなぁ……。
最初のコメントを投稿しよう!