他人の手

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久々に学校に行こうと思って、私はスクバをリュックのように背負い、通学路を歩いていた。 (朝から登校するなんて、由衣チャン偉すぎー) 仲間の前で言ったら爆笑されるだろうな。自分で思ってオモロイし。 にしても、朝っぱらからウゼェなあ。チラチラ見やがって。堂々と見れねぇのかよ。同じ制服を着た生徒たちが、限りなくウザい。前のボタンが開いているブレザーのポケットに手を突っ込んだ。 「ふあ……っく」 欠伸を噛み殺すと、目尻に涙が浮かんだ。 (泣いてるみてぇだなあ) 拭って、そう思った。 ◆◇◆◇ 「うっそ。マジでか!?」 「嘘じゃねーし、マジだから」 あ、冷たい。よし、可愛くお願いしてみよう。 「みっきー、お願ぁい」 「……。い・や・だ。テメェの尻拭いはテメェでしろ。俺を巻き込むな」 「そんな寂しーコト言わないでさァ。私の担任でしょお?」 「キモい。とにかく、次のテストで全教科九十点以上取りやがれ。じゃなけりゃ退学だ。これは決定事項だからな」 「みっきー最低ーッ! 絶対取ってやるかんな!!」 んべーっと舌を出してアッカンベをみっきーにして、職員室から出た。 そう。さっき、私は次のテストで全教科九十点以上取らなければ退学になると言われた。出席日数足りない。テストは受けない。実質、不登校だから仕方ないと言えば仕方ない。 だが、私は学校を退学になる訳にはいかない。 (絶対に……!)  
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