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「ってワケでさぁ……。勉強教えてくんね?」
「あ……わ、私塾とかで忙しくて、む、無理……だと思います」
んだよ。頼んでるだけじゃねぇかよ。何ビビってんの? 私何もしてねぇじゃん。
走り去ったクラスメイトの背中を眺めた。やっぱ、自業自得……かな。
「御志波さん、珍しいですね、あなたが学校に来るなんて」
「んー?」
くるりとふり返ると、キレーな金髪。そして藍色の瞳。えーと、見たことあんだけど、名前が出てこない。
「あー、悪ぃけどさ、アンタ誰? 忘れたみたいでさ」
「仕方ないですよ。俺は影が薄いとよく言われますし。改めて、俺は日下部章弘(くさかべあきひろ)。生徒会役員をやってます」
思い出した。日下部章弘。学年トップで頭良い奴!
忘れたこと怒ってねーし、良い奴みてぇだな。
「それで……どうかなさったんですか?」
「あー、今度のテスト全教科九十点以上取らねーと、退学なんだとよ。私あんま学校来てねぇけど、ココ好きだからさ、退学になりたくねーから、勉強教えてくれる人探してたんだ」
教えてくんねーかなあ。カリカリと頭を掻きながら上目遣いで日下部を見る。
「んでさ、ここで会ったのも何かの縁だ。勉強教えてくんね?」
駄目もとだ。聞いてまえ。
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