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コンビニの袋を持って、私はアキの家のインターホンを鳴らした。 バタバタと足音が聞こえて、ドアが勢い良く開いた。あらかじめ用意しておいた言葉を、アキが口を開く前に言う。 「……ただいまー。コンビニ行ってきたんだ、お腹空いちゃったから」 「ドアも開けずにですか」 少しの刺を含んだアキの口調に、笑いそうになる。 なァ、アキ。私は、アンタのモンじゃねーんだよ、だから、あまり私に向けて感情を持つな。 「窓から出たからね、それより聞いてよ。期間限定のチョコ見っけたんだ、一緒に食わねぇ?」 「もう、いいです……そうですね、甘いものが欲しいと思ってたんです。頂きましょうか」 どこか諦めたようなアキの口調に、何故だか胸がツキンと痛んだ。 それが何なのか、どうして痛むのか解らなくて、私は胸に手を当てた。それでも答えなんて見つかるはずがなく、首を傾げ、家へと入っていった。 リビングに入るとそこにはもうアキが紅茶を淹れて蒸らしていて、もう少しで蒸らし終わるという言葉に私は頷いて、買ってきたチョコレートを並べておくことにした。 「じゃあ、飲みましょうか」 「そーだね、それにしても、恵梨と梨恵は何の用だったんだ? 私に用があった訳じゃねぇみたいだしな……アキに用だったのか?」 「別に大した話はしてないんですけどね、ただの雑談でしたよ」 くすりと笑うアキの表情に、私は小さな嘘を見つけた。  
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