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「勉強を再開しましょうか」
「……そだね、時間ないし、これから予定もないしな。じゃあ私はノートとか取りに行くからアキも用意しといて」
私たちは一旦それぞれの部屋に戻った。
私は、アキの中に見つけた──見つけてしまった嘘に胸元に穴があいたような感覚を覚えた。何だ? この……無性に泣きたくなるような、感覚は。
もそもそと着替えながら、いくら思考をめぐらせてもわからない。ただ、これは嫌いだと思った位だ。
リビングに戻って勉強を再開しても、その感覚は頭から離れてくれない。そのせいだろうが、勉強ははかどらなかった。
「今日はもうこれくらいにする。お前はどうするんだ?」
「そうですね、そろそろ夕食の準備をしますね。その間にお風呂入ってください」
「了解。……覗かないでねんっ」
「……ッ、誰が覗きますか! 馬鹿なこと言ってないでさっさと入って下さいっ」
あらま、顔真っ赤にしちゃってかわいいなあ、もう。ほんと、ちょっとつつけば真っ赤になって、からかいがいがある。
くつくつと笑い、私は風呂場に向かった。
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