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シャワーを頭から被る。
髪が水を含み、首が怠くなる。
「ウ、ソ、ツ、キ」
判ってた事じゃないか、人間は平気で嘘を吐くイキモノなんだって。たまたま、アキが今まで嘘を吐かなかったからって、これからも吐かない確信なんてなかった。
私が出会った全ての他人(ヒト)を……私は裏切られるつもりで信じていた。だから、今更嘘を吐かれたくらいで、何も感じないはず。
「なのに……何で?」
わからない。自分のことなのに。
自問自答を繰り返し、ひとつのコタエにたどり着いた。それはあまりにも残酷で、おそろしいことだった。
変わらないと言った舌の根も乾かぬうちに。
大和が正しかった。私は気づかないうちに、変わりはじめていたんだ……!
だけど、だけど……
「それは、あまりにも滑稽じゃないか!」
ぐらりと視界が揺らいで、遠くで水の跳ねる音がした。
私ハ──。
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