他人の手

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にっこりと、私が出来ない優しい笑みを浮かべた日下部は、優しい声色で言った。 「良いですよ。俺が教えます」 「マジでか!? さんきゅ! 日下部大好きだっ」 ぴょんと飛び付いて、ちゅ、と頬にキスをする。日下部は驚いて離れた。 私はキス魔だし、キスは挨拶。大好きはお礼。 って、日下部は知らねーか。 「あ、日下部。私キス魔だから」 「い、異性にキスはちょっと……」 「仲間にはする。挨拶がわりだ。フツーなんだよ。慣れれば大丈夫だ」 ニィっと笑ってやると、日下部は苦笑いをして、ため息をついた。ちょっと失礼じゃね? ま、いっか。勉強教えてもらうんだし、それくらいは大目に見てやろう。由衣サマは心が広いんだ。 「次のテストは、二週間後ですよね。どうします?」 「何を?」 「……」 イキナリ聞いてくるから話が掴めねえ。日下部。私は普通の奴より馬鹿なんだ。ソコを踏まえて会話してくれ。 だから、ため息つくなーッ! 「勉強ですよ」 あー、なーる。そりゃ、勿論。 「今日からやんねーと間に合わねえ」 「場所は、どこにします? 図書館でも良いですが、五時には閉まりますし……」 待て待て。日下部クン、何時まで勉強やらせるつもりだ? 私が知恵熱出すだろ。  
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