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独り残されたシンデレラ。
何かを忘れる様に黙々と床を掃き、そして雑巾で綺麗に拭いて行く。
ただひたすらに…。
どれくらいの時間がたっただろか?
気が付くと、目の前に見知らぬ老婆が立っています。
シンデレラは不思議に思い、首を傾げました。
すると見知らぬ老婆は笑顔で優しくシンデレラの両手を握りました。
その瞬間、今迄我慢していた想いが溢れ、シンデレラは泣き崩れてしまいました。
老婆は可哀相なシンデレラが泣きやむまで側にいて優しく微笑み続けました。
そしてシンデレラが泣きやむと、嗄れ(しゃがれ)た声で老婆はシンデレラにこう言いました。
『シンデレラや。お前は本当に優しい良い娘だ。
今夜はお城で舞踏会。勿論、お前も行きたいだろう?』
老婆の言葉にシンデレラは一瞬ためらいましたが、直ぐ首を縦に頷きました。
それを確かめた老婆は、突いていた杖の先端をシンデレラに向け
『お前は今日一日、夢の様な出来事を経験する。
お前は幸せにならなきゃいけないのさ。
世界一、心の優しいシンデレラ…。』
呟く様に言うと、シンデレラの体を強い光がパァァァっと包み込みました。
『さぁ、シンデレラ…。
お前は今日一日、"プリンセスシンデレラ"だよ。』
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