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そして時刻は夜。
そこにはシンデレラに選んでもらった服を着て、おめかしをした姉貴ズと継母がいた。
当然、舞踏会に行かないシンデレラは、四人とは対象的にいつものボロボロの服だ。
出掛ける準備が出来た姉貴ズを馬車に乗せ、最後に継母がシンデレラに言う。
「それじゃあ、行ってくるからね。明日の仕込みと、あの繕い物を全部しておくんだよ」
「へいへい、分かりましたよ。せいぜい楽しんで来て下さい」
最後まで仕事を押し付ける継母に、面倒そうに返す。
「ふん。…出しておくれ」
そんなシンデレラを継母は気にせず、御者に馬車を出すよう指示する。
御者は、もうそんなやり取りに慣れているのか、すぐに馬車を走らせた。
「行ってらっしゃ~い!…もう帰ってくんなよ~」
最後の方は馬車が見えなくなってから小さく言い、そのまま丘に向けて歩いて行く。
薄暗い夜道も、通い慣れた足取りで迷わず丘まで歩く。
「また来たぜ…母さん、親父。今日はあいつら舞踏会でいないから、のんびりできるんだ」
両親の墓に今日の昼は仕事で忙しく来れなかったので、夜にやってきたのだ。
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