01:ハジマリの日

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この二人の生まれた一族を 【双晶の民】という。 血脈ではなく、全くの偶然により、数多の種族の中に、一億に一人の確率で生まれる一族。 その額にこの天地との絆の証である宝玉を抱き、其れにより天地の声を聞く。 必ず同日、同刻に同じ宝玉を抱く者がうまれ、片方が【力】片方が【精神】を司る。 力を司る者はその解放により、大地を破壊し、精神を司る者はその解放により大地を再生する。 【双晶の民】とは、天地が生み出した、生きる者たちと世界との『絆』であり『楔』だと、古い文献や一族に伝わる伝承は語る。 使い方を間違えたり、対となるものが不在の状態で使うと危険きわまりないこの力を、一族は【禁忌】とし、封印していたが、他の全ての種族からしてみれば、ただ、驚異以外の何者でもなかった。そうして、長い歴史の中、双晶の民は他の種族から迫害され続けてきた。 いつしか彼らは、人里から離れた山の奥深くに里を造り、時々やってくる仲間だけを迎え入れながらひっそりと暮らしていた____。 ディアンとベリルは、長い歴史の中でもおそらく初めて、同じ母親の腹の中から、額に抱く宝玉こそちがうものの、 同じ日に生まれた双晶の民だった。
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