01:ハジマリの日

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窓から溢れる柔らかな陽光___ 優しい光の中で、少年は目を覚ました。 あまりに気持ちの良い朝なので、思い切りよくカーテンを開き、太陽の光を全身に浴びる。 「うん、今日もいい朝!」 うーーん、とのびをしたところで。 自分の頬に残る涙の後に気づいた。 そう言えば、夢を見ていたような気がする。 ひどく懐かしくて、切なくて、悲しくて、泣きたくなるような___ 誰だか分からないけれど、小さな少年の夢ーーー しかし、いくらおぼろげな記憶を思い出そうとしてみても、もうそれ以上思い出せそうにもなかった。 夢の検証をあきらめて、改めて少年は自分の今の状況を把握する。 「しまった・・・!今日は俺が朝メシ当番だった・・・・!!!」 おそるおそる部屋の扉を開け、階下の様子をうかがうと、食欲をそそる香りが鼻をかすめた。 少年の顔色はさらに青くなる。 きっと、もう一人の同居人がいつまでたっても起きてこない自分の代わりにしかたなく朝食をつくっているに違いないのだ。 自分の巻いた種に、うろたえまくったあげく。ようやく着替えをしなければならないことにきづいたころ、階下から、大声が響いた。 「ディアン!!!!いつまで寝てるんだ!!?はやく起きないと叩き出すよ!!!」 声の主はディアン、と呼ばれた少年の双子の兄、ベリル。 いつもは穏やかな片割れだけれど、キレた時のすさまじさは村でも有名だ。 きっと今頃、いつまでたっても起きてこない自分に腹を立て、両手にフライパンとお玉を握りしめている! 自分の想像に、ディアンは急いで着替えを済ませ、転がるように階段を駆け下りた。 「ご、ゴメン、ベリル・・・」 ひとまず謝ってみて、視線を上げた先に居たベリルは、まさしくディアンの想像通りの姿で仁王立ちしてる。 (神官見習いが、そんな激怒しちゃいけないんだぞ!!)とはむなしいディアンのこころの声。 一方、ベリルもたとえフリだと分かっていてもしょんぼり俯く片割れを見るのは忍びない。 はあ、と溜息をひとつもらしてから、ベリルはうなだれる(フリをした)弟に、席を勧めた。 「もう、いいよ。いつまでたっても片づかないんだから、はやく食べちゃってよね。」 「は、はい・・・」 素直に謝ったことがとりあえず効を奏したのか、とりあえずディアンはテーブルに付くことを許される。
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