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「他科に恋して恋い焦がれなんて珍しくね?」
京介さんが、また一つ空中に煙の輪を作り出します。
「………前回の実戦の時にな、助けられちまったんだよ」
想いと記憶を風に乗せ、遠い青空を仰ぐ虎太郎さん。
いきなり青春モードに入らないでいただけますか?
「実戦で助けられた?お前ほどの男がか?」
京介さんの頭に嫌な予感がマッハ5で走り抜けます。
「朱雀科で、女で、お前より強い…………まさか、だよな?」
えぇ、まさかですよね?
「長峰さん…………」
「…………マジか?」
嫌な予感が的中です。
あの、電波にですか?
「高岡?」
タバコを揉み消し立ち上がると、虎太郎の肩にポンと手を置きます。
「悪いことは言わねぇ、あの女はやめとけ?」
今までのふざけた表情が一切消え、突然の完全マジモードな京介さんに虎太郎の表情が強張りました。
「な、なんでだ?」
問い掛ける虎太郎に無言で首をふります。
恋は盲目、と言いますが………
虎太郎さんたらどこかに両目を落とし物したみたいですね。
学園の落とし物係に問い合わせしてみましょう。
誰か!誰か!
この脳ミソ腐った男の両目知りませんかぁぁぁあぁぁッ!!!
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