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「……てめぇは俺を怒らせた」
星・白銀です。
何一つ京介さんを怒らせるような事はしていないと思います。
煙が晴れ、その中から黒焦げの腐太郎が姿を現しました。
あれですね、頭が実験失敗した博士です。
でも……
立ってました。
「へぇ、やるじゃん?」
京介さんが二股の村正を再構成して、嬉しそうに微笑みました。
「まだ……まだだ!!」
戟を杖代わりにして、もはや気合いと根性だけで立っている腐太郎。
ちょっとだけ、健気に見えてきました。
『白虎科一位クラスの風の防壁ですらこの有様!!その姿で立っているお前に惚れそうだぜ高岡ぁぁぁあぁぁッ!!』
完全に瀕死ですけどね。
「睦月さんの前で……無様に倒れてられっかよ!!」
「じゃぁ無様な姿晒さないように、カスも残らないくらい消滅させてやんよ!」
瀕死の腐太郎には絶望的な。
見る者には圧倒的な。
他者とは桁違いのオーラ的な何かをまとい、京介さんが一歩ずつゆっくりと前進します。
『二刀……』
二股目が砕け散り、深紅に燃え上がった村正が、避ける事も受ける事も出来ない腐太郎へと、ゆっくりと振り下ろされました。
『鬼哭斬』
一瞬の無音の後、世界を引き裂くような爆音を轟かせた村正が、空気を、地面を、全てを燃やし尽くし…………
ゆっくりと静止しました。
「チェックメイトだ」
ナイフは隠し持っていなかったようです。
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