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「人が落ちるかもしれないっていうのに動かないし」  楽しくて仕方ないのか、僕の反応が面白いのか。彼の明るい声は止みそうにない。 「他人に興味ないの?」 「ない」  思わず即答してしまう。 「君、面白いね」  それはそれは、今までにないっていうくらい楽しそうに。 僕は、こんな頭のイカレタ奴にそんなことを思われる筋合いはない。寧ろ、彼の方が僕なんかの何倍もおかしな思考の持ち主で、面白い人物だと思う。 「あんたに言われたくない」 「冷たいな」  残念そうな口ぶりとは裏腹に、視線を合わせた彼は生き生きしていた。 「生憎、愛想なんて持ち合わせていないので」 「そこがまた、面白いんだよ」 「……」  皮肉たっぷりに言ってやったのに、まったく効果がない。憎たらしいことこの上ない。 いらいらと、初夏の暑さで更に気分が悪くなる。 日陰に戻ってきた彼は、頬を伝う汗を拭い、 「ねえ、友達になってよ」  と、嫌になるくらい涼しげに言った。
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