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暗い校舎から外に出ると太陽が目に痛い。さすがに地面よりも太陽に近づいたせいか、日差しがとても強く感じられた。右手を翳して、顔に小さな影をつくる。これで少しは日差しを遮ることができた。しかし、もっと大きな影を求めて、給水タンクの裏にまわる。暑い。口からは自然とその単語だけが漏れていた。 目的の場所にたどり着くと、いつもとは違う景色。ここに通いはじめて何度目かはわからないが、そこには初めて先客がいた。 「なんで、」 驚いた。人がいることにもだが、そこにいた人物にも。同じクラスの彼と話したことはないが、成績優秀でスポーツ万能。それだけでこの年頃の異性にモテること間違いなしだ。それだけでなく、愛想も良い彼は同性にも人気があり、常にクラスの中心にいる。こんな時間にさぼったりするようなイメージは全くない。
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