第 三 章

19/19
892人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
「竜之介は……なんでバンドやってるの?」 「なんでって言われてもなぁ。別に。なんかしたかったからやってるだけで」 「最初からバンドがしたかった訳じゃないの?」 「あぁ。三人っつうか、最初は四人だったんだけど。四人でなんかしたかっただけで、バンドじゃなくても。四人でやるなら、囲碁将棋クラブでも良かったよ。バンドはたまたま」 「……そうなんだ」 「バンドやってよかったと思ってるし。今はそれ以外考えらんないけどね」 「ふうん」 「ねぇ……」 「何?」 「本当にあたしでいいの? ボーカル」 「俺らがお前がいいっつったんだよ?」 「……うん。ありがと」 竜之介は、あたし”でも”いいじゃなく、あたし”が”いいと言ってくれた。 そんなこと言われたのは、生まれて初めてな気がした。 「……ねぇ」 「何だよ?」 「今からあたしん家来ない?」  
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!