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「竜之介は……なんでバンドやってるの?」
「なんでって言われてもなぁ。別に。なんかしたかったからやってるだけで」
「最初からバンドがしたかった訳じゃないの?」
「あぁ。三人っつうか、最初は四人だったんだけど。四人でなんかしたかっただけで、バンドじゃなくても。四人でやるなら、囲碁将棋クラブでも良かったよ。バンドはたまたま」
「……そうなんだ」
「バンドやってよかったと思ってるし。今はそれ以外考えらんないけどね」
「ふうん」
「ねぇ……」
「何?」
「本当にあたしでいいの? ボーカル」
「俺らがお前がいいっつったんだよ?」
「……うん。ありがと」
竜之介は、あたし”でも”いいじゃなく、あたし”が”いいと言ってくれた。
そんなこと言われたのは、生まれて初めてな気がした。
「……ねぇ」
「何だよ?」
「今からあたしん家来ない?」
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