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俺達はアラミンの顔を見つめる。
お湯を顔に掛けていたアラミンは、そんな俺達の視線に気付いて首を傾げる。
「「それだ!!」」
「うおっι」
一斉に立ち上がり、アラミンを引きずって風呂場から出た。
魔術で身体を乾かしながら、悔しがる。
「つかそれだけで十分だな。」
「盲点だったよー。」
「助かったで、アラミン。」
「分かんねえけど、分かった。」
アラミンは理解出来て無いけど、俺達は仕返しに身を焦がした。
…本当に焦がしそうだった。
「暑ッ…つか熱ッ!!?」
気合いを入れすぎて魔術に影響が。
慌てて調整して、渇いた身体に火傷が無いか調べる。
「ディル少し痩せたー?」
そんな俺を観察していたファルスが、気になったように聞いてきた。
「いや、体重は増えたよ。
どっちかって言うと、筋肉がついたかな。
…マッチョにはほぼ遠いけど。」
全体を見る事が出来る鏡の前に立って自分の身体を眺める。
…マッチョ、成れそうに無いや。
「マッチョは無駄な筋肉だぜ。
見えない筋肉の方が、力はある。」
腹筋すら割れて無いのに。
自分のお腹に手を当てて、力を入れる。
…やはり割れない。
「ディルは魔術師やで。
無理に筋肉を付けんでええ。」
俺を鏡から追いやり、鏡の前に立って全身に力を入れるカイト。
少し肩を殴ってみるも、手が痛かった。
「カイト、良い筋肉してるぜ…。
無駄な筋肉もねぇし、背中にまである。」
良い見本だ、と満足そうな表情。
するとファルスが落ち込んだ。
「腰の筋肉が付かないで困ってるー。
スクワット…してるのにー。」
「スクワットは足だぜι」
更に落ち込んだ。
つか…マッチョのファルスはヤだな。
3人の観察をしながら、服を着替える。
俺が着替え終わるまで遊んでやがった。
「先に行っとくよ?」
「「へーい」」
風呂場を出て、向かった先は錬金場。
大分サマになってきたこの場所に、たまにウットリしてしまう。
「はふっ♪」
幸せを噛みしめて、清水濯(せいすいたく)に浸る賢者の杖を取り出す。
椅子に座って逸れを拭いて、具現化を解くと腕輪に消えた。
「拭いてくれたんかいな?
ありがとさん♪」
丁度カイト達が来た所で、エルフの長にする仕返しの作戦会議をした。
それぞれ椅子に座り、テーブルには錬成布を広げて書物を見る。
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