じめじめのきせつ

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「確か、右から3つ目だった気がするー。 あれ…4つ目ー??」 余計に分からなくなった。 今度から瓶に名前を書く事にして、俺はロイドと通信する。 「あのさ月下草の種の特徴、教えて。 どれが何か分かんなくなって。」 『月下草なら、少し芽が出ている。 香りは酸っぱい…直ぐ分かるぞ。』 教えてくれたロイドに礼を言い、俺達は4人して月下草の種を探す。 芽が出て酸っぱい。 「何やこれ、甘ったるいでι」 「それ、龍花の種だ。 分かる分だけ名前書こうぜ。」 アラミンは魔筆を取り出して、カイトと一緒に名前を書いていく。 俺とファルスはひたすら探していた。 「あー。 そういえば、ロイドにあげなかったー? ほら…魔薬の調合でー。」 俺達はファルスを見つめた後、思い出す記憶に溜息を吐いた。 どうやら…採りに行く必要がある。 「ああ、せや。 ついでやからクエ受けへん? 金があらへんのや。」 全員が財布の中身を確認する。 俺の所持金は約4千ギル。 多大に手に入れた金額は、全て錬金場に消えてしまった。 「俺は3千ギルー。」 「約2千ギルだぜ。」 「ワイは2千5百ギルや。」 お財布の状況は厳しい。 梅雨になった以上、聖木も高いはず。 聖木中5つだけとはいえ…不安だ。 「大体の目安、分かる?」 棚に寄りかかり、思考に耽る3人に聞く。 目安さえ分かれば何とか出来る。 「確か『エルフォート』には5千から8千って載ってたぜ」 まず買えない。 最低でも2万5千ギル。 最高で…4万。 全員の所持金足しても2つしか無理。 「また必要なんもあるやろうな…。」 「出費がかさむねー…。」 溜息を吐く俺達。 悩んでても仕方ないので、久しぶりにエルと連絡を取る事にした。 再び通信機を手に取り、ふと思い出す。 「そういやトアロード放置したままだ。 どうする、少しだけ錬金場は後にして、エルに貢献しようか?」 ずっと錬金場創りに専念していた為にすっかり忘れていた。 アラミンを登録しに行った以来、全くエルと連絡していない。 「そうだねー。 お金も欲しいし、いいかもー。」 3人が頷いた所で、通信機を閉じた。 しばらく錬金場創りは止め、明日からトアロードのクエに励もう。 「明日、直接ギルド行こうぜ。 そのまま行けばいいしな。」  
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